ふわふわでしっとりしたシフォンケーキを作るにはきめ細かくコシのあるメレンゲをたてる必要があります。
しかしきめ細かくコシのあるメレンゲと言われても
- どれぐらいメレンゲを立てたらいいの?
- 強いメレンゲをつくりたいけどどうすればいいの?
といった悩みをお持ちではないでしょうか。
今回はシフォンケーキの命ともいえるコシのあるメレンゲを立てるコツとメレンゲの見極め方を紹介したいと思います。
メレンゲを上手に立てることができれば腰折れや底上げ、焼き詰まりなどほとんどの失敗は改善されると思います。
コシのある強いメレンゲを立てるコツ
シフォンケーキのメレンゲは「艶のある硬めのメレンゲ」にする必要があります。
緩いメレンゲだと腰折れや底上げを起こしてしまいますが、だからといって立てすぎのメレンゲもよくないです。
「艶のある硬めのメレンゲ」とは単にしっかり立てたメレンゲではなく「きめ細かい丈夫な気泡を含んだ艶とボリュームのあるメレンゲ」を意味しています。
強いメレンゲを作るためのコツ
丈夫できめ細かいメレンゲを立てるためにはいくつかのコツを意識して丁寧にメレンゲを立てていく必要があります。
ボウルや泡だて器は水分や油分の付いていないものを使用する
ボウルや泡だて器に少しでも水滴や汚れが残っていると卵白の泡立ちがとても悪くなります。
少しくらい大丈夫だろうと思うかもしれませんが念入りにきれいにふき取ってください。
卵白に少しでも卵黄が混じらないようにする
卵黄の成分の30%は脂質でできています。
この脂質成分は卵白の気泡であるたんぱく質の膜を破壊してしまいます。
こちらもボウルの水分同様少しでも入ると極端に泡立ちが悪くなってしまいます。
慣れない間は直接卵をボウルに割り入れるのではなく小さなお皿に試し割をしてから卵を分割する方法がおすすめです。
新鮮な卵を使う(夏の卵は特に注意)
古くなった卵にはさらさらした水様性卵白が増え、卵黄の周りのドロッとした濃厚卵白の割合が減ります。
水様性卵白は泡立てに重要な起泡性に富んでいるのですぐに泡立つのですが、「空気変性=泡を持続させる力」は濃厚卵白のほうが高いです。
安定した強いメレンゲを作るためには濃厚卵白の割合が多い新鮮な卵を使用する必要があります。
また夏の卵は特に水様性卵白の割合が増えるので特に注意が必要です。
卵白を使う直前までボウルごと冷蔵庫で冷やしておく
卵白の温度が高いと泡立ちはよくなりますが、泡の安定性は低くなります。
逆に卵白の温度を下げることできめ細かい強い気泡を作ることができます。
卵白に塩(またはをレモン汁)を入れる
塩にはたんぱく質を凝固させる作用があり、卵白のコシを切り泡立ちをよくすることができます。
しょっぱさが残ることもなくむしろ塩を入れることで味が締まるのでよりおいしくなると思います。
ただし柑橘系のように塩気が味の邪魔をしてしまうフレーバーもあります。
そのような場合塩の代わりにレモン汁を数的加えてください。
卵白はアルカリ性の食材ですが中性に近づいた方が気泡の安定性が高くなります。
レモンは酸性の食材なのでレモン汁を数的加えることで卵白を中性に近づけ安定性を高めます。
乾燥卵白を使用する
乾燥卵白は卵白を特殊な製法で乾燥させた食品で通常の卵白に加えると卵白の濃度を上げることができます。
濃厚卵白の割合が増えて卵白の安定性がぐっと高くなります。
泡立ちの違いを実感できるほど差が出るのでメレンゲが苦手な方はぜひとも使用してみて下さい。
砂糖を数回に分けて入れる
砂糖には水分を吸着する作用があるので泡立ったメレンゲを安定させる効果があります。
しかし同時に卵白に含まれるたんぱく質の膜が固まるのを抑えて泡立ちにくくする作用もあります。
そのため一度に砂糖を入れてしまうと泡立ちが悪くなってしまいます。
そこである程度泡立ててから複数回に分けて砂糖を加えることで泡立ちもよく安定したメレンゲを作ることができます。
ここでは3回に分ける方法で後程紹介しています。
レシピよっての砂糖の分量が違うので砂糖を入れるタイミングも変わります。
卵白に対して砂糖の量が少なすぎるとメレンゲの安定が悪くなります。
そのため砂糖が少ないレシピ(卵白に対して1/3以下)であれば軽く泡立ててから一度に加えてしまったほうが安定したメレンゲを立てることができます。
ハンドミキサーは中速でゆっくり動かす
ハンドミキサーでの泡立ては高速で泡立てると早く泡立てることができますが大きくつぶれやすい泡になってしまいメレンゲの安定性が低下していしまいます。
つぶれにくくきめ細かで丈夫な泡を作るためには少し時間はかかりますがハンドミキサーの中速(5段階あれば3)でゆっくり泡立ててください。
銅のボウルを使用する
京都府立大学の研究によるとガラス、銅、ステンレスのボウルでメレンゲを作成したところ泡の安定性や均一性は銅ボウルの方が良かったとされています。
メレンゲの安定性には銅イオンも関与しており銅ボウルを使用することでメレンゲの安定性を上げることができます。
少し高価ではありますが有名店でも使用されているのでよりふわふわなシフォンケーキを目指すには一つあってもいいかもしれませんね。
シフォンケーキのメレンゲの見極め
シフォンケーキのメレンゲは「艶のある硬めのメレンゲ」「ボウルを逆さまにしても落ちてこない固さ」が目安とされています。
コツを一つ一つ確認して丁寧に立てれば艶のあるきめ細かい硬めのメレンゲを立てることはできますが完成の目安がとても難しいですよね。
そこでメレンゲを見極める3つのポイントを実際の写真、動画を踏まえてのメレンゲ作成を紹介したいと思います
メレンゲの見極め3つのポイント
シフォンケーキのメレンゲの見極めポイントは次の3つです
①艶がある
砂糖を数回に分けゆっくりと泡立てたメレンゲはきれいな艶が出てきます。
砂糖を一度に入れてしまったり高速で泡立てたメレンゲにはきれいな艶が出ません。
逆に泡立てすぎたメレンゲはボソボソしていしまいこちらも全く艶がなくなってしまいます。
②ハンドミキサーの跡がつく程度の固さ
メレンゲを泡立てていると徐々にハンドミキサーの跡が残るようになります。
中速で立ててこの跡がしっかりとつくようになるとメレンゲの固さの最終確認に移ります。
③ツノ先がわずかにお辞儀する程度
完成したメレンゲの固さの確認はハンドミキサーを止めてゆっくりと持ち上げて確認します。
この時ツノがしっかり立ちツノの先がわずかにお辞儀する程度の固さがベストです。
ツノがしっかりとお辞儀してしまう場合はまだメレンゲが緩いので中速で30秒程度追加で泡立てて再度硬さを確認してください。
コツを抑えたメレンゲの立て方
ここまでメレンゲの立て方を見極めを解説してきました。
ではそのコツを押さえた実際のメレンゲの立てる手順を紹介したいと思います。
今回は17㎝のシフォンケーキのメレンゲの立て方になります。
グラニュー糖には水となじむ性質があるのであらかじめグラニュー糖と乾燥卵白を混ぜ合わせてください。
よく冷えた卵白に塩を一つまみ入れてハンドミキサーの低速で泡立てていきます。
気温が高い場合は氷水でボウルを冷やしながら泡立てるとメレンゲが安定しやすいですよ。
最初は低速で小さな泡を立てていくように泡立てていきます。
徐々に細かい泡が立ってきますので全体にまんべんなく泡ができたら1回目のグラニュー糖を加えます。
グラニュー糖を投入してまずは低速でグラニュー糖を溶かすように混ぜていきます。
グラニュー糖がなじんだらハンドミキサーの中速でゆっくり泡立てていきます。
ハンドミキサーの動き自体もゆっくりと全体にまんべんなく動かすようにしてください。
全泡立ち始め、全体が白くなったら2回目のグラニュー糖を入れていきます。
1回目同様低速でグラニュー糖をなじませてからハンドミキサーを中速にしてゆっくり泡立てていきます。
この時メレンゲの淵の部分が離水してしまう(水っぽくなる)のでボウルを回しながらメレンゲの淵までまんべんなく泡立てるようにしてください。
全体的に艶が出てきたら最後のグラニュー糖を加えます。
ここではまだツノは立たない状態です。
再度低速でグラニュー糖をなじませ中速でゆっくり立てていきます。
しばらく立てているとメレンゲにハンドミキサーの跡が残るようになります。
最初はハンドミキサーの跡がすぐに消えてしまいますが徐々に跡がしっかり残るようになります。
しっかりと跡が残りだしたらメレンゲの硬さを確認します。
メレンゲの硬さはハンドミキサーを止めてそっと持ち上げてツノの立ち具合で確認します。
ツノがぴんと立ったところからツノ先だけがお辞儀する程度がベストです。
足りない場合は少しずつ様子を見ながら追加で泡立ててください。
ツノがしっかりと立ったらハンドミキサーを低速に変えて泡のキメを整えていきます。
ここではハンドミキサーをゆっくりまんべんなく動かすようにしてください。
キメを整える時間は1分程度行ってください。
全体的にキメを整えたら泡だて器に持ち替え1分程度泡締めをします。
泡締めとはメレンゲのキメをさらに整える作業です。
メレンゲの淵は水分とメレンゲが分離(離水)しやすいので泡だて器で全体を整えていきます。
艶々としてきめ細かいメレンゲの完成です。
まとめ
卵の質やレシピによって立て方の変わるメレンゲですが今回ご紹介したコツを抑えることで「きめ細かい丈夫な気泡を含んだ艶とボリュームのあるメレンゲ」を立てることができます。
シフォンケーキのふわふわ感や失敗にはメレンゲの質が大きくかかわってきます。
丈夫なメレンゲ作りを極めて美味しいふわふわなシフォンケーキを焼いていきましょう!
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