シフォンケーキを失敗せずにふわふわに焼くためには卵黄生地をしっかり乳化させる必要があります。
卵黄生地の乳化に関してはメレンゲと並んでシフォンケーキのポイントで最も重要となるといっても過言ではありません。
底上げや焼き詰まりなどの失敗回避のためにしっかり乳化した卵黄生地が必要ですが「しっかりした乳化ってよくわからない」といった方も多いのではないでしょうか。
今回はシフォンケーキの重要ポイント卵黄生地の乳化について乳化方法のポイントと卵黄生地の作り方を解説したいと思います。
シフォンケーキを失敗せずに作るにはしっかりした乳化が必要
底上げや焼き詰まり、腰折れなど様々あるシフォンケーキの失敗。
原因はたくさんあるのですがほとんどの失敗の原因に登場するのが「卵黄生地の乳化不足」と「メレンゲがうまく立てれいていない」です。
そのためシフォンケーキを上手に焼くためには卵黄生地をしっかり乳化させることが必須となります。
乳化ってどういう状態?
「乳化」とは簡単に言うと水と油のように本来混ざりあわないものが均一に混ざりあった状態の事を言います。
油が底にたまったドレッシングを振ると一つになっているのをイメージしてもらうとわかりやすいかと思います。
シフォンケーキの卵黄生地にも水分と油が使われているので水分、油分、卵黄を均一に混ざりあった状態にする必要があります。
卵黄は天然の優れた乳化剤
実は水と油を混ぜただけでは乳化は非常に起こりにくいです。
そこで乳化剤として活躍してくれるのが卵黄です。
卵黄のたんぱく質にはレシチンという物質が含まれており水と油の「つなぎ」の役目をしてくれます。
レシチンには低温では十分に働きにくいという特性があるので卵黄生地は温めて乳化させる必要があります。
(前略)油の乳化プロセスにおいては、低温では十分な乳化能を示さないために、50℃程度まで加温する必要があり、さらに乳化後においても、過剰のレシチンが水相に残ると、低温において平板状ミセルを形成するために、凝集・沈殿などの不安定化を招く。
東京海洋大学海洋生命科学部 松川真吾教授の卵黄レシチン・リゾレシチン混合ミセルを用いた低温ナノエマルジョンの調製方法の研究より引用
なぜ乳化が必要?
ではなぜ乳化不足が失敗につながるのでしょうか。
乳化の状態には水が油を覆っている状態(水中油滴型)と油が水を覆っている状態(油中水滴型)とがあります。
シフォンケーキは水中油滴型を目指して乳化させていくのですが乳化が不十分であると油と水が分離してしまい油が外にある状態になってしまいます。
こうなってしまうと油のために生地が型に張り付かず底上げの原因となってしまいます。
またこの状態だと油分とメレンゲが触れ合いどんどん泡が潰れていってしまい腰折れや目詰まり、底上げの原因となってしまいます。
卵黄生地をしっかり乳化させるためのポイント
乳化が重要とわかったところでここからはしっかりと乳化させるためのポイントを紹介したいきたいと思います。
①ハンドミキサーで生地がモッタリとするまでしっかり泡立てる
卵黄生地の泡立てには基本的にはハンドミキサーの使用をお勧めします。
乳化不足の場合はほとんどが十分に混ぜていないことが原因ではないかと思います。
卵黄だけでの泡立て、油を加えてからの工程では白っぽくマヨネーズ状になるまでしっかりと泡立ててください。
各工程で画像のように白っぽくトロッとなるまで泡立ててください。
②卵黄→油→水の順番で加える
レシピによって加える順番が違うことがありますが卵黄は油分となじみやすいので先に油分を加えて次に水分を加えるようにしてください。
③常温の卵を使う
先ほど書いたように卵の乳化成分「レシチン」は低温では働きにくいという性質があります。
冷蔵庫から出したての卵では温度が低すぎるので常温に戻してから卵を使用するようにしてください。
④水分、油分を湯煎して温めてから加える
卵黄の乳化力が最も発揮されるのは50℃付近です。
水分と油分を温めておくと卵黄生地の温度が上がるので乳化しやすい状態となります。
湯煎のお湯を沸騰手前(泡がふつふつ出だすくらい)まであたためてそこで湯煎をする方法がおすすめです。
目安としてはお風呂よりも少し熱いくらいの温度を目安にしてください。
まとめ
卵黄生地の乳化が不足していると油と水が分離してしまうため、底上げや腰折れ、焼き縮などいろいろな失敗につながってしまいます。
しっかり乳化をさせるポイントは以下の4つ
①ハンドミキサーで生地がモッタリとするまでしっかり泡立てる
②卵黄→油→水の順番で加える
③常温の卵を使う
④水分、油分を湯煎して温めてから加える
卵黄生地の乳化をマスターすると失敗のないふわふわなシフォンケーキにグッと近づくことが出来ますよ。
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